先日、行われました「平城高校の存続を願う訴訟 説明会」に参加してきました。弁護団を迎え、皆様の熱い想いを改めて感じ、当初より関わってこられた方々に改めて感謝致します。

その中で、気になった点を含めて、参加出来なかった方々に少しでも内容が伝われば幸いです。

以下、訴訟の概要、および「今、私達に出来る事」を書いて行きますが、「何をお前が偉そうに!」と受け取られる方もいらっしゃる事でしょう。

決して、偉そうにしたいわけでも、言い訳をするつもりもありませんが、参加された方々より少しは理解が深いだろうと感じたのは正直なところです。

各位、様々な思いはあるでしょうが、少しばかりお付き合い頂き、この記事で、僅かでも、本訴訟への理解が深まります事を願います。

私について~自己紹介

私は、行政書士登録をしています。行政書士の信頼性や認知度については、正直様々なご意見がある事は承知しています。

行政書士は、その試験科目の中に俗に言われる「行政法」が有ります。「俗に」と記しましたのは、行政に関わる様々な法律をまとめて「行政法」として使われているからです。

同様の表現のしかたがされているもので「労働法」などが判りやすいでしょうか。「労働法」も「行政法」と同じく、労働基準法や労働契約法、民法の一部、健康保険・年金関係、派遣関係の法律等々をまとめて「労働法」として使われてます。

そんな行政法の中で、本件に関係しそうな法律に、地方自治法、国家賠償法、行政事件訴訟法等があるのですが、およそ多くの方には、労働法よりさらに馴染みの無い法律だと思われます。

本件訴訟を正確に把握する為には、そのような法令(法令=法律だけでは無く、通達や訓令などの内部文書を含む)を理解しなければならないでしょう。

しかし、この「行政法」は、法律を学ぶ方々の中でも苦手としている方も少なくないと認識しており、日頃縁の無い方には、さらに難解なものとなるだろう事は安易に想像できます

そんな背景から、10年ほど前の事で、行政書士の実務上も日頃密接しているわけでは有りませんが、皆様より、多少は理解しているだろうと思い上がり、この記事を作成しています。

出来るだけ正確な情報を記したいのですが、これまでに書いてきたとおり、正確性を重視する事は解りやすさに反する事になりますので、出来る限り平易な表現を優先しました。(時間の関係も有り)かなり雑な内容になりますが、私見を書き殴らせて頂きます。最後までお読み頂けましたら光栄です。

本件訴訟の概要

本件訴訟の大きな柱は3つだと、弁護団の説明を受けました。

  1. 過日制定された、平城高校を廃校する条例の取り消しを求めるもの。
  2. 仮に、1の取り消しが認められなかった時に、生徒達が被る損害に対する慰藉料を求めるもの。
  3. 1の結果が出るまでの間、その進行を止めることを求めるもの。

1と3の違い

先日の説明会で、1と3の違いが判らないとの意見がいくつか有りましたので、もう少し詳しく述べます。

本件訴訟で完全勝訴する事は、1だけが認められれば十分です。1が認められれば、平城高校廃校の条例は白紙になり、今まで通りに平城高校は存続します。

しかし、皆様、ご存知だと思われますが、裁判は(勝ち負けは別として)結果がでるまでに、かなりの時間が必要です。一審(地裁)だけでも1年程度はアッと言う間に経過する事は少なく有りません。

さらに三審制ですので、高等裁判所への控訴、また最高裁判所への上告までを考えると何年もの戦いになってしまいます。

そこで3が重要になってきます。県は取り消しが確定するまで、制定された条例に従って進行させてしまいます(この事は法が認めています)。その進行を止める為に必要な訴えが3になります。

3の訴えが認められず、1の訴えが認められたとしても、何年もの裁判の間で、既に平城高校が無くなってしまってる可能性が高く、無くなってしまえば1の訴え自体が意味の無いものになってしまいます。(その場合に発動するのが、2の慰藉料です。)

そのような事態を避ける事を目的として、とりあえず簡易迅速に「せめて、1の訴えが確定するまでは、廃校の条例の保留しろ!」との主旨が3の訴えです。

現実問題として、今の条例通り廃校が実行されてしまえば、1の訴えは理由が無くなり、最後まで裁判を続ける事すら叶わず、途中下車させられる事になるでしょう。

3を認めさせる為に重要な事

前記したとおりに、3の裁判は、あくまでも、とりあえず、急いで、簡易に判断を求めるものです。

その為には、それなりの理由が必要になります。
もちろん、1の訴えの中でも理由(主張・立証)は必要なのですが、1の訴えは慎重に厳格に法律と証拠に基づいて判断を求めるものです。

それに比べて、3の訴えは、「とりあえず」「急いで」「簡易に」判断を求めるもので、1の訴えのように、正確で厳格な法律と証拠は必要有りません。

しかし、何ら理由もなく、住民が訴えたからとの理由だけで、条例に基づいた進行を止める事が(一般論として、客観的に)危険過ぎる事は御理解頂けるのではないでしょうか。1の訴えほど細かいものでは無くても、それなりの理由(疎明)が必要になります。

そのような事情から、3の訴えの行方は大変大きな意味を持ちます。3を認めさせる為には「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」ことが必要になってきます。

「緊急」だからこそ、「とりあえず」「急いで」「簡易」な判断を求める事ができるのです。

「重大な損害」は、1の理由と被る部分は多くあるでしょう。しかし、「重大な損害」を「緊急」に伝える事が、3を認めさせる為に重要になります。

その為には、法律に基づいた主張・立証は当然に大事な事なのですが、その部分は弁護団に任せるしかありません。それに加えて「重大な損害」で有る事と、「緊急」を要する事を援護射撃するものが陳述書と考えて頂いて大きな間違いはないでしょう。